漢字が苦手な子どもへの処方箋

漢字が苦手な子どもへの処方箋

こんにちは、長谷川です。

今日は、ブログの質問・お悩みフォームに、こんな相談がきましたので、それにお答えします。

うちの子は漢字テストで点数を取れません。つい先日の漢字テストでは20問で2点でした。まったく練習してないならまだしも、前日に一緒に練習したにもかかわらずです。

本人は漢字が大嫌いだと言っているので、練習が適当なのでしょうか?

漢字を好きになれとは言いませんが、せめて漢字テストで合格点(8割)を取るようになって欲しいんです。何かアドバイスをいただきたいと思って書きました。よろしくお願いします。」』

では行って見ましょう!

なぜ漢字が苦手になってしまったのか。

漢字が苦手な生徒をたくさん見てきました。
漢字が苦手な生徒に共通するのは「漢字の練習が面倒くさい」ということです。

ではなぜ「面倒くさい」と思ってしまうのか?
いくつか原因があるのですが、「成功体験が少ない」「失敗する事の恐れ」などが考えられます。

まず「成功体験が少ない」と人は行動出来なくなります。何故ならその行動に動機がないからです。

逆に行動できる子どもは、過去に「成功体験」が何かしらあります。
成功体験」と言っても大きなものでなくていいです。
例えば「頑張ってきたことを認められた」みたいなことで構いません。

子どもは大人の些細な一言を覚えています。
私が頑張っている子どもに理由を聞いた時
先生から『最近頑張ってるね!』って言われたことが嬉しかったから
と答える子どもたちはたくさんいます。

人間には「承認欲求」がありますから、それが満たされた経験は「行動」に繋がります。

ですから「本人が頑張ったこと」を認めてあげることが大切です。

重要なのは「本人が」というところです。大人の価値観ではないです。

なのに、つい「そんなの頑張ってるうちに入らない」とか言ってしまいます。

でもそれは大人のレベルで話しです。
子どもには子どもの頑張りがあることを忘れてしまっているのです。

最悪なのは馬鹿にしたり怒ったり、してしまうことです。
これが「失敗する事の恐れ」に繋がります。

子どもたちの中には、過去に学校の教師から怒られたことや、馬鹿にされたことで、トラウマになっているケースもあります。重症な場合はカウンセリングを受けることが必要なケースもあります。

なぜこんなことが起こるのかというと、はっきり言って、教師側の勉強不足のせいです。
ほとんどの教師は「自分のやってきた」勉強方法を伝えます。
そして酷い場合は「それだけ」を生徒に押し付けます。

たまたまそのやり方が合った生徒は点数が伸びますが、そうでない生徒はたまったもんじゃありません。

しかし、教師は気づきません。なぜなら、実施にその指導で出来るようになっている生徒が少なからずいるからです。
ですから、何度も自分の勉強方法がさも素晴らしいかの如く、さらに子どもに押し付けようとします。「〇〇ちゃんを見習いなさい」とか「努力が足りないんだ」とか……。

その結果、勉強に対して苦手意識を持つ生徒の出来上がるのです。

もちろん中には素晴らしい教師もいて、その子どもに合わせた方法を教えてくれる場合もあるのですが、今の日本の公教育の現場では難しいのかもしれませんね。

でも、教師というキャリアを選んだのであれば、子どもの特性を考えてそれに合った指導法を考えることくらいはやって欲しいものです。

まとめると、漢字の練習を「面倒くさい」と思うのは
過去の行動が承認されてないので、成功体験として記憶されていない、むしろやっても意味の無いことと捉えてしまっているわけです。

ではどうすればいいのか?

本来なら本人と話をしたり、教えてみたりして、その子どもの特性を掴みたいところです。それがないと細かいところのアドバイスはできません。

「勉強ができるようになる」ためには、その子に合った学習タイプや認識の違いなど様々な要因が隠れています。

詳しくは電子書籍「どうしてあなたの子どもはテストの点数が悪いのか?-子どもがテストで33点アップする魔法の5つの質問」をお読みください。
どうしてあなたの子どもはテストの点数が悪いのか?-子どもがテストで33点アップする魔法の5つの質問
この本で5つの質問を通して、その子の学習タイプや認識パターン、思考のタイプなど子どもの特性を調べる具体的な方法を紹介しています。それを通して子どもの特性を調べることで、その子に合った学習方法が見つかります。

今回はその点も踏まえて、どんな特性の子どもに対しても効果を発揮する漢字練習法を紹介します。

どんなに漢字嫌いな子どもでも漢字テストで100点を取る漢字練習法

私は理数科目を主に担当しているのですが、以前の大手学習塾時代には国語を担当していたことがあります。教室長も17年ほどやっていたので、生徒の学習状況を把握していました。その際に、「漢字テスト合格できない」というのはよく教師ミーティングで上がっていました。

それもあって、色々な漢字練習法を試してみました。
その中でも向山洋一先生の指導法に興味を持ったので、生徒にやらせてみたところ、とても効果がありました。
今回紹介するのは、その学習方法に、鹿沼掲揚先生の暗記法や私自身が試してみて効果があった方法です。

その漢字練習法は、次の3つからできています。

1.音読させて意味をイメージさせる
2.まずは指で練習する
3.そらで書けるようになってから鉛筆を持って練習する

この流れになります。

それぞれ説明しますね。

1.「音読させて意味をイメージさせる」です。

これは本当に大切です。なぜなら、意味のわからないものを覚えることは難しいからです。
漢字が苦手な子どもは、その漢字を字として捉えていません。漢字が苦手な生徒に、話を聞いたところ、「謎の記号」のような感じなんだそうです(苦笑)
そんな意味がわからない「謎の記号」を覚えられるわけがありませんよね?

ですから、その漢字の持つ内容・意味を教えることと、写真や動画のようにイメージさせることで、「謎の記号」から「自分の知っているもの」に変換されます。これだけでもグッと覚えられるようになりますので、必ずこの過程を踏みましょう。

2.「まずは指で練習する」です。

これはいきなり鉛筆を持って練習するのではなくて、まずは指で練習するのです。書き順もこの段階で意識させてください。

漢字が苦手な子どもは書こうとしません。何故なら覚えていないものを紙に書くという作業は辛いからです。ですからその負担を減らします。まず指で書けるように練習させます。

ただでさえ苦手意識を持っているのに、無理やり書かせようとしても、成功体験にはつながりませんますます漢字の練習はつまらないものという意識が強くなり、逃避行動に走るようになります

だから始めのハードルは低く設定します。

どんな漢字の練習が嫌いな生徒も、指でならやってみようかなと感じ、練習し始めます。やり始めたらそうそう、そんな感じで漢字を覚えちゃおう!」とすかさず承認してあげてください。承認されることで子どもはすすんで練習しようとし始めます。

ここまできて、やっと鉛筆をもって練習です

3.そらで書けるようになってから鉛筆を持って練習する

このとき大切なのは「3回ずつ書く」の繰り返しです。

例えば、10個の漢字を覚えるとします。その際に「3回書いたら、その漢字を覚えいなくても次の漢字にうつること」がポイントです。

これは人間の集中力の問題で、3回以上は集中力がなくなり、ただの作業になってしまうのだそうです
ですから、暗記という側面から見ると「3回書き」を繰り返すことが効果的だということです。

また、これは指導していて気づいたのですが、どんなに面倒な子どもでも練習し始めます。生徒に聞いてみたら「3回ならやってみるか」という気持ちになるんだそうです。

「3回ずつ書く方法」はこんな心理的な効果があるんです。

一通り書いたら覚えているかどうか確認しましょう。当たり前ですが、この段階では覚えているものと覚えてないものがまじります。

それでいいのです。

完璧主義は将来のことを考えても、なんの役にも立ちません

覚えてないものは「もう3回書こう!」と軽い気持ちでやらせます。
笑顔で伝えましょう。
これは、練習することは楽しいことだと認識させるためです。

だいたい3回繰り返すと覚えられます。

ここでよくある勘違いは「3回書くだけですべて覚えられる」というものです。

そうではなくて「3回を1セット」として反復練習するのがコツということです。

そして一番大切なことは「子どもが練習したことを声に出して承認する」ということです。
称賛ではなく、承認することが大切です。

もちろん笑顔で楽しそうに話しかけてください。

その体験が「努力することが面倒くさい」ことではなくて、「努力することは面白いこと」に変換されていきます。

ぜひ、子どもが子どものレベルで頑張ったことを承認してくださいね。

そんな小さな積み重ねこそが、子どもの可能性を伸ばす大切なことなんです。

これは英単語の暗記や社会の暗記などでも活用できる方法なので、色々工夫をして試してみてください。

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